竹富島から札幌へやってきたクラフトや民具のこと。29日まで沖縄フェア開催
3月29日(日)まで、Agtで沖縄の美味しいものやクラフト作品などを集めた「沖縄フェア」を開催しています。今回は、竹富島から届いたクラフト、民芸品についてちょっと書きたいと思います。
今回のフェアを企画した際、北と南をつなぐというコンセプトで、食をメインに話が進んでいましたが、せっかくの沖縄フェア、何か沖縄の空気感が伝わるような生活雑貨を並べられないだろうかと考えていました。そんなとき、ふと、数年前に友人から紹介された「ayoi TAKETOMI color」と書かれたエコバッグを思い出しました。確か、竹富島の植物を使って染色したバッグだと聞き、その自然な色合いに惹かれて、色味の異なる3枚を入手。今も愛用しています。早速、フェアであのエコバッグを置けないかと、友人に連絡先を教えてもらいました。
ayoiというのは、小樽出身で竹富島在住のあきさんと、生まれも育ちも竹富島というやよいさんによるユニット。あきさんとやり取りをする中で、ayoiのものと一緒に、竹富島のクージの会が作ったカゴなどの民具、アトリエ五香屋のやちむんも扱わせていただくことになりました。
竹富島から商品が届き、箱を開けた瞬間、暖かな島の空気がふわっと流れたような気がしました。北国にはない植物の数々、照り付ける太陽、透明度の高い海が頭に浮かびました。そして、作品を包みから取り出す作業をしながら、北国のクラフトとはまた異なる奥深さや重さのようなものも感じました。それは、沖縄と北海道の歴史の長さの違いにあるのかもしれません。人々が生きていくため、自然の素材を用いて作り続けてきた沖縄の民具、その技術や手法は伝統として脈々と受け継がれています。長い年月を経て、生活の中のアートとして、今の沖縄の手仕事が形作られてきたのだろうなと思いました。
それは、あきさんに伺った話からも分かりました。あきさんは、札幌の学校で油彩を専攻していましたが、その間に染織に出合い、中でも島の植物を用いた八重山の素朴な染織に惹かれます。初めて八重山を旅したとき、自然の作り出すもののすごさに衝撃を受けたそう。その後、八重山の島の生活に興味がわき、竹富島へ。のちに、縁あって島の男性と結婚します。現在は島に暮らしながら、島で代々染織を生業にしている家に生まれ育ったやよいさんと一緒にayoiとして活動中。「彼女との出会いがとても大きい」と言い、やよいさんと共に伝統を重んじながら、身近にある島の植物を用いた染織を通じて自分たちの想いを表現しています。最後に、「染織も、クージの会の民具もとにかくたくさんの工程と人の手を経て出来上がるものです。これらを手に取ってくださった方たちに、竹富島の暮らし、環境や植物のこと、作っている人たちの想いなどを知ってもらえたらうれしいです」と話してくれました。
どうぞ、竹富島から届いた民芸品・クラフトを直接手に取り、伝統と大らかさが感じられる暮らしの中のアートに触れてみてください。