「コーヒー」と生きる〜そして、一杯の向こう側〜第0話

はじめに

 

コーヒーの仕事を、もう一度することになるとは思っていませんでした。

 

高校を卒業してすぐに社会に出て、17年の会社員生活を送りました。
その後、30代半ばで退職し、36歳で自家焙煎のコーヒー豆売り専門店を始めました。
喫茶は設けず、豆の販売だけに向き合う店でした。

 

振り返れば、若さというより、勢いと必死さで走っていた時期だったのだと思います。

 

焙煎をして、店に立ち、お客さまと言葉を交わしながら、コーヒー豆を手渡す。
それが日常になり、いつしか当たり前になっていきました。

 

けれど、人生は思い通りには進みません。
すべてを失い、コーヒーの現場から離れ、もう戻ることはないだろうと感じていた時期もありました。

 

そんな自分が、今はAgtという場所で、再びコーヒーのそばにいます。
「コーヒー」と生きる、という言葉が、少しずつ自分の中に戻ってきました。

 

肩書きや立場は変わりましたが、コーヒーと向き合い、そして自分と向き合う時間は、どこか懐かしく、同時にとても新鮮です。

 

自分の考えを押し出したいわけではありません。
日々の中で感じたことや、立ち止まって考えたこと。
時には、ふと昔の話が顔を出すこともあるかもしれません。
それらを、同じ時間を生きる誰かのそばに、そっと置いていけたらと思っています。
はっきりした答えを書くことは、少ないかもしれません。

 

Agtには「整腸第一主義」という考え方があります。
それは強い主張というより、暮らしの中で自然と育ってきた感覚に近いものです。
体が整うと、気持ちが落ち着き、選ぶ言葉や行動が変わっていく。
その積み重ねを、日々の実感として大切にしています。

 

コーヒーのこと、食のこと、仕事のこと。
そして、生きていくということについても、書いていくかもしれません。
断定せず、否定せず、今の自分の言葉で。このコラムが、読んでくださる方の時間に、静かに寄り添うような存在になればうれしいです。

 

一杯のコーヒーのように、少し立ち止まるきっかけになればと思います。

 

今日は、この一歩目として。また、続きを書いていきます。

 

(文:横井 力)

 

☆ 次回は2/6(金)の投稿です。