おしえて!かねごん先生 第5回「お米ってスゴイ!」

Agtスタッフで、管理栄養士でもある“かねごん”先生に、体と栄養のことについて教えてもらうコーナー。5回目は、新米の季節でもあるので、「お米、ご飯」の栄養やパワーについて語ってもらいます。

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編集部/すっかり秋ですね。新米の季節です。ピカピカの美味しいご飯を食べるのが楽しみなのですが、ご飯って太るのかなぁという心配も…。

かねごん/もちろん食べすぎはよくないですが、ご飯を食べたからすぐ太るという認識は誤解です。正直、ダイエット目的の糖質制限はおすすめしません。

編集部/えぇ!本当ですか?

かねごん/ご飯などの炭水化物(糖質)は、脳のエネルギー源です。脳をしっかり働かせるためには、朝、昼、晩ときちんと炭水化物(糖質)を補充することが大事。炭水化物(糖質)を制限すると、脳が「エネルギーが足りない!」となります。すると、脳は、肝臓に貯蓄した多糖類のグリコーゲンを不足分にあてようとします。グリコーゲンは筋肉にも多く蓄えられ、体を動かすエネルギー源なのですが、脳の糖質が足りないと、脳は肝臓のグリコーゲンをほかに使われてなるものかと、「筋肉でグリコーゲンを使わせない状態にしてしまえ!」という指令を送ります。

編集部/体の中で糖質の取り合いが始まっちゃうのですね。

かねごん/その指令により、糖質を少しもムダにしないよう、活動量を制限させるため、脳は私たちを眠りに誘い、動きを鈍くさせてしまいます。なので、朝食で炭水化物を摂らないと、学校や職場で朝から眠くなってしまうのです。

編集部/えーっ! 最近よく、小学生が朝から授業中に寝ていると聞くけれど、朝食抜きが原因だったのですね!

かねごん/子どもは、体の大きさに比べて頭が大きい分、糖質を必要としています。朝食に炭水化物、できればご飯をちゃんと食べて学校へ行くのが良いと思います。

編集部/ちゃんと授業を聞いてもらいたいなら、ご飯を食べさせていかないとダメですね。

かねごん/そうですね。また、眠くなるだけではなく、脳にエネルギーが届かない状態が続き、蓄えたグリコーゲンだけで足りなくなると、脳は筋肉を食べ始めるのです。

編集部/えーっ!! 筋肉を?

かねごん/ここからがダイエットにも関係してくる話なのですが、筋肉はアミノ酸で構成され、分解をするとアラニンという物質になります。脳は、それを肝臓まで運ぶように指示します。それは、肝臓がアミノ酸をグリコーゲンに合成することができるからです。このメカニズムを使って、脳は自分の筋肉を食べていくのです。

編集部/なんか怖い…。

かねごん/脳が筋肉のアミノ酸をどんどん食べていくと、筋肉量が減っていき、体の動きはさらに緩慢になり、脂肪がついたままやせ細っていく「隠れ肥満」になっていきます。筋肉量が下がると基礎代謝が下がり、ますます脂肪をため込んでしまいます。隠れ肥満は、冷え性や婦人病、生活習慣病と結びつくので、無理な糖質制限はおすすめしません。

編集部/でも、どうしてご飯は太るといわれるようになってしまったのでしょう?

かねごん/糖尿病の罹患率が増え、その原因が「ご飯の食べすぎ」と指摘された時期がありました。おそらくそれが誤解を招き、ご飯=太ると認識されてしまったようです。しかし、その後きちんと研究が進み、現在はご飯に問題があるのではなく、ご飯の「食べ方」に問題があったといわれています。

戦後、西洋の食事が日本に入ってきてから、ご飯よりも肉など脂質の多い食生活が中心となってきました。長い年月、穀物を食べてきた私たち日本人の体は、この変化に対応できず病気になってしまったと考えられます。食べ方に気を付ければ、これらは予防することができます。

編集部/どんな食べ方がいいのでしょう?

かねごん/まず、ご飯よりもおかずが多い「おかず食い」は、太りやすいです。締めのご飯、晩酌後のご飯も太る原因になります。また、先ほど言った「隠れ肥満」は、朝食抜きも大きな原因の一つです。やはり、ご飯を中心とした食事を三食バランスよくとることが大事。空腹感が強い飢餓状態は、体に脂肪を貯めやすくなってしまいます。ご飯は、血糖値を緩やかにあげてくれるので、実は満足感も長く続き、腹持ちもいいのです。

編集部/なるほど、ご飯に味噌汁におかずがちょっとあるという、昔からの日本人の食事スタイルが、実はベストなのですね。ありがとうございました。次回もまたご飯について教えてください!