MOKUな人 Vol.8  小山奈美さん(L.Y.JAPAN株式会社代表取締役)

「健康であるため、まず自分にベストなものを選択できる力を鍛えてほしい」

「MOKUな人」は、MOKUと関わりのある方やマガジンコンセプトに合った活動をされている方たちを紹介していくコーナーです。8回目は、L.Y.JAPAN株式会社 代表取締役の小山奈美さん。ヨガなどを通じて心身ともに健康でいられる社会作りを目指して活動されています。

実は運動嫌い…。ヨガと出合い、人生の転機を迎える

スラっと姿勢がよく、凛とした雰囲気の小山奈美さん。スポーツをバリバリやってきた方かと思いきや、意外なことに「ずっと運動が大嫌いだったんですよ」と笑います。そんな小山さんがヨガインストラクターになり、その経験を経て、本当の健康社会を目指したいと起業するまでにはどのようなドラマがあったのでしょうか。

小山さんは札幌出身。地元のホテルで、企画営業やイベントプランニング、スタッフ教育などを担当し、ホテルマンとして活躍していましたが、2005年に結婚を機に横浜へ。生理不順や体型の変化などが気になり、少し体を動かしたほうがいいかなと考え、スポーツクラブへ通い始めます。次第に顔見知りも増え、あるときヨガのレッスンに誘われます。「鏡張りのところで、ポーズを取るとかムリと思って、最初は正直イヤでした…」と小山さん。それでも、「参加しよう、しよう」と半ば強引にレッスンに連れていかれます。ところが、体験してみると、思い悩んでいたことや雑念が抜け、レッスンの間は無心になることができたそう。「ヨガと自分の心がリンクした感じでしたね」と振り返ります。

その後、離婚を経て、2011年に札幌へ戻ります。「すべてゼロの状態で、人生をリセットするような感じでした。でも、リセットするならば、好きなことを存分にやってみようと思いました」。そこで、ヨガをしている間は余計なことを一切考えず、ゆったりした気持ちでいられることを思い出し、自分がそうであったように、ほかの人にもヨガを通して気持ちをリフレッシュしてもらえたらと、ヨガのインストラクターの資格を取得します。

素の自分でいるために、フリーランスの道を選択

資格を取得する際に決めていたのが、「どこにも所属しない」ということでした。「自分の力でどこまでやれるか挑戦してみたかったし、そのままの自分でいたかったんです」と話します。どこかに属すると、確かに仕事はある程度安定して得ることができるけれど、そこの色に合わせてしまい、本当の自分を隠してしまう気がしたそう。「実は、子どものころから親の期待に応え、学校や会社でも割といい子で、結婚していたときも嫁とはこうあるべきという枠の中にいました。でも、ヨガに出合い、離婚を経験し、自分で自分に制限をかけていたことに気が付きました」。素の自分でいるため、本当の自分と向き合うために、フリーランスのヨガインストラクターの道を選択します。

最初からフリーランスでやっていくのは、そう簡単ではありません。課題や問題が次々と小山さんに降りかかってきました。「一つクリアしたと思ったら、また次の問題が浮上する。この繰り返しで、3年くらい経った時、やっと泣かなくなりました(笑)。まるで修行僧みたいでしたね」。課題が見つかると、すぐにノートに書きだし、常に自問自答をしてきたそう。違和感を感じることがあったら、そこに着目し、逃さないようにしてきたと言います。「違和感は何かのサイン。ここを見逃したり、誤魔化したりするといつまでも解決できないということに気づきました。実はこれ、体も同じ。違和感があるところを放っておくと、いつまでも問題がくすぶっているのです」。

真の健康とは、心と体と向き合うことから始まる

6年目にはすっかり人気ヨガインストラクターとして多忙になっていた小山さん。ほかのインストラクターや、これからインストラクターを目指す人から、独立の相談やフリーランスで働くことの相談を受けることが増えました。そこで、ヨガインストラクターになって7年経った2018年にマネジメント会社「株式会社L.Y.JAPAN」を立ち上げます。「自分の経験が他の方の役に立つのならば…という思いと、講師として本気で取り組みたい方たちと社会を繋ぐ役割を担いたいと思って会社にしました」。

「ヨガはスポーツというより、自身の身体、そして心と向き合うもの。哲学でもあり、生き方だと思っています。だから、インストラクターをやりたいという人にも、まずは自分を知ることが第一歩と話しています」。常に自分と向き合いながらインストラクター業を続け、実績を上げていった小山さんの言葉には説得力があります。また、「実はヨガの先生と呼ばれることにちょっと抵抗がありました。教えるというより、ヨガを通じて自身と向き合ってもらい、心身ともに健康になってもらいたいと思っていたので、会社を立ち上げる際には、ヨガとうたわず、健康産業というくくりにしました」と話します。現在は、インストラクター養成やコンサルタント、インストラクターの派遣などを行うほか、コロナ禍につき、WEBでのレッスンも開催しています。

心身の健康に欠かせないこだわりのハーブティーも販売

もうひとつ、「L.Y.JAPAN」として行っているのが、ハーブティーの製造販売です。「実はハーブティーがずっと苦手だった」という小山さん。現在、「L.Y.JAPAN」のチーフトレーナーを務める向井美緒さんが、小山さんと初めて会ったときに持ってきてくれたハーブティーを飲んで、はじめて「美味しい」と思ったと話します。そのハーブティーは向井さんがブレンドしたもので、「ブレンドと淹れ方が違うだけでこんなに美味しいものだとは!と驚きました」。リラックス効果もあり、すっかり欠かせないものとなったそう。その後、向井さんのブレンドハーブティーをヨガの生徒さんに配るとどんどん評判に。心身ともに健康な社会作りを目指している小山さんにとって、ハーブティーもたくさんの人に知ってもらいたいものとなっていきました。

2019年にハーブティーの製造販売をスタート。とはいえ、あちこちに卸すつもりはなかったそうで、「自分がとても好きな場所、ここだと思うところに」と決め、いつも食事に訪れていたAgtに卸してくださることに。今ではすっかりAgtの定番商品となりました。こだわりの有機ハーブでブレンドした商品は3種類。おやすみ前などリラックスしたいときの「Good night」、美を意識したブレンド「Beautiful moment」、ペパーミントが気分をリフレッシュさせてくれる「Happy tummy」。

さらに、この冬は小山さん自身がブレンドに初挑戦した「温巡~Onjun~」を限定販売。レモングラス、カモミールジンジャーなどをブレンド。体を温め、心もほぐしてくれるような風味と香りを楽しめます。パッケージも定番とは異なり、温かみがありながら大人っぽい雰囲気。プレゼントにもおすすめです。今後もこのような季節限定商品を考えていきたいそうです。

いくつになっても自身の体と向き合える「指ヨガ」を広めたい

これからのビジョンを尋ねると、「これはヨガのインストラクターを始めた頃から一貫しているのですが、これからも体を動かすきっかけ作りを続けたい」と話します。さらに、「一昨年あたりから特に指ヨガに力を入れています」と続けます。指ヨガとは、手を人体の縮図という考えのもとに、呼吸を意識しながら手の甲や指などを押したり緩めたりしていくもの。高齢になって、体を動かすのが難しくなっても、指ヨガであれば通常のヨガと同じように心身のバランスを整えることができるそう。「体が思うように動かない方でも指ヨガを続けているうちに動かせるようになったケースもあります。まずは指ヨガできっかけ作りをしたいです」。高齢者施設にも8年近く通い、指ヨガを伝えています。「フィットネスクラブやヨガ教室など、健康産業はどうしても都市部に集中しがち。でも、どこに暮らしていても心身ともに皆さんが健康であってもらいたいと願っています。高齢化が進み、過疎化している地域で指ヨガインストラクターを養成し、各地で指ヨガが広がればと思っています」。

 

「健康であるためには、まず自身のことをよく知り、自分に合ったものを選択する力をつけることが大事。ヨガやエクササイズは、自身を掘り下げていくアイテムのひとつだと思っていただけたら」と話す小山さん。つまり、自分の中の軸がしっかりしていれば、運動も食事も流行だけにとらわれず、自分に合ったものを選ぶことができるということ。小山さんの凛とした姿は、まさに小山さんの生き方そのものなのだなと感じたインタビューでした。

「L.Y.JAPAN」のハーブティーは、オンラインショップからも購入できます。ぜひ一度味わってみてください。